トイレから戻ると同僚達が、夜に開かれる花火大会について盛り上がっていた。
当然俺も輪の中に入って愛だの恋だの騒ぎたかったが、その輪には「てめー相手も、行く予定も無いだろ?入ってくんじゃねーよ」結界が張られていて、俺のレスラー級のボディですら軽く弾かれ退く。
あったまにきたので、
「俺の知り合いの花火職人の親父さんは昔、花火の暴発事故で頭がふっとび半分無い!いいかお前ら、花火がキレイだとかロマンチックだとか言ってるけど、その花火は職人達の血で出来てることを忘れるなっ!カーッカッカッ!」
と雰囲気ぶち壊してやった。
さぞかし花火大会が雨の為中止になった様な絶望に満ちた顔をすると思いきや、
「でも最近の花火ってコンピュータで制御されているからそういう事故もないらしいよ」
とチンパンが余計な事を言い、「あいつバッカじゃねーの?」「いやむしろお前の頭が半分無いんじゃね?」的な空気が漂い、俺は再びトイレへ逃げ込んだんだ。
~エピローグ~
「ドーーーンッ!」
という炸裂音でビックリして俺は目を覚ました。
どうやらビールを飲みながらゲームをしていてそのまま眠ってしまったようだ。
「わぁ!!」「早く!早くっ~!」
外から花火の音に混じって通行人の歓声が聞こえる。
寂しくなるから見ないでおこうと決めていたがやっぱり我慢できない。
窓を開けると血の鮮血の様な花火が上がっていた。
あれはきっと、俺の引き裂かれた心から出た血なんじゃないかな。
「こ、こいつはドラゴン!!」
ドラッグストアにてレジを待っていると、後ろに同じスポーツジムに通っているドラゴンが並んでいた。
ドラゴンというのは俺が勝手に付けたあだ名なのだが、恐らくドラゴンは俺の事をタイガーと呼んでいる、はずだ。それ程までにお互いをライバル視している。
彼の容姿は、スキンヘッドにヒゲ、男なら誰しも嫉妬する程の隆々とした筋肉の持ち主で、いつも着ているタンクトップは力を抑制する拘束衣とも言われている。
まだ一度も話はしたことは無いのだが、大体彼が言いそうな台詞は分かる。
「むすめさんの涙に大山は負けたよ・・・!」
これは間違いなく出てくる、やつはそういう漢だ。
その、ドラゴンとこんな所で遭遇するなんて!
なんてこった!
俺、手にコエンザイムQ10なんか持ってる!
ちぃい!ドラゴンには見られたくなかった!
コエンザイムQ10使ってるの知られたくなかった!
や、やってくれるじゃねぇか!ドラゴンさんよぉ!
人の秘密を覗いたからには、俺も覗かせてもらうぜ!!
俺はドラゴンに気付かれないよう、やつのカゴの中をチラ見した。
カゴの中身:プロテイン一式
○ ドラゴン ─ 俺 ×
このまま負けたまま帰れるはずがない。
ドラゴンも次の対戦を望んでいるはずだ。
俺はやつの後をつける事にした。
プロテインを大事そうに持ったドラゴンが次に入った店は、隣のドコモショップ。
野郎・・・携帯を買うつもりか?
ドラゴンは店内に入るなり女店員を捕まえ、「プッシュトークは出来るのか?」とか「着うたがどうのこうのとか」俺でも知らない最新機能をしきりに質問していた。
おいおい、やめてくれドラゴン。
俺の思い描いてるお前はそんなやつじゃないはずだろ?
100歩譲って携帯を買うのは許す。
でも、お前が買っていいのはらくらくホンまでだろ!?
あと、FOMAがいいとか悲しい事を言うなよ!
お前は「山ごもりした時とか電波が入らないのでムーバーがよかとです」とか言わなくちゃダメだろ!た~の~む~よ~ドラゴン!俺の、俺の理想を壊さないでくれよ~!
ドラゴン、悪いがこの勝負お前の負けだ。
そう呟きかけたその時!
「けんく~ん」とドラゴンに近寄ってくる一人の女性。
どうやらドラゴンの彼女のようだ。
その彼女の美人なこと!美人なこと!
○ ドラゴン ─ 俺 ×
バレンタイン&ホワイトデーのお菓子ってこ洒落てるだろ?
あれ、無駄にこ洒落てて中身が大した事ないよな。
いわば人間の見栄を具現化した物なんだよ。
そんな物を贈り、贈られをしてるからハートフルな人間が少なくなってると思うんだ。
心がこもっていれば山崎パンとか、ドキドキ学園とかでもいいじゃないか。
そして俺はもう一つ気付いたんだ。
お菓子はこ洒落てるけど、俺は全くこ洒落ていない事を!
ああいうこ洒落たお菓子はこ洒落た人に任せばいい。
もう終わらせようと思ったんだ。
月交代でこ洒落たお菓子を贈りあうこの戦いを。
2006年3月13日
心の第3会議室で俺の中の7人と熱き作戦会議が行われていた。
「そうそう、女達ってこ洒落た物とかかわいい物が好きですよね」
「うむ、逆にダサい物に弱い傾向もあるな」
「なるほど、じゃあ和菓子なんかどう?コテコテの和菓子」
「しかも箱で買わない。バラで買うってのもいいかもしれないな」
「おほー!それはいい!名案だ!」
「和菓子バラ買い可決!本体は早急に買いにいくように」
「ダッシュな!」
俺は和菓子屋までダッシュで買いに行った。
和菓子屋といえど、ホワイトデー前日という事もあり、こ洒落た箱に入ったお菓子が陳列されている。しかし、俺はそんなものに目もくれず、バラの和菓子をかき集め、レジに突き出し「袋を3つくれるかな?」とハリソン・フォード級に甘くささやいた。すると、
「ほ、ホワイトデーの前日にバ、バラ買いてーーーっ!」と店員泡を吹くの巻。
「か、買ってきた!」

「おお~!これはいいじゃないか!」
「ダサくて最高じゃないか!塩豆大福って!ぷぷっ!」
「恐らく女達は、無条件でこ洒落た物が貰えると思ってるはずだ」
「そこにこのダサい和菓子を投入か!」
「こりゃアナフィラキーショックが起きるぜ!」
「いや、まだだ!まだダサさが足りない!」
「ああ、ぬるいな。奴らはこれだけでは『わ~おいしそう!』に変えてしまう」
「くそ!もっと屈辱的なダサさは無いのか!?」
そこで俺は提案をした。
「あの~、手書きのメッセージなんかどうでしょうか?」
一同「それだ!」と絶叫した。
30分程の論議によりメッセージは、「Love,愛をこめて!」に決定。
好きでもない男からこのメッセージを貰うと鳥肌もんなのはリサーチ済みだ。
「か、書いたぞ!」

「おお~!これはいいじゃないか!」
「女達は大きなバックは持っていないからな!つまり手で持って帰らなければならない!」
「おほ~これは恥ずかしいわ~」
「しかも、こいつぅ~!ダサさを強調する為にわざと汚く書いたな!」
「やるじゃねぇか!この鬼畜ぅ!」
「ヒューヒュー!鬼畜ー!」
「え?そ、そうかな?おい、お前らそんな褒めんなよ~」
言えない!本気で書いたなんて言えない!
そして全ての仕込みが終了する。
「ふぅ~ようやく終わったな」
「明日が楽しみだよ、全く」
「あ!ちょっと待って」
「ん~どうした?」
「袋二つしかないじゃん」
「え?俺3つ頼んだよ!ハリソン・フォードばりに」
「でも現に2つしかない。やってくれたな!」
「ちょ、ちょっと待ってろ!代わりの袋探してくるから!」
「さ、探してきた!そしてメッセージも書いてみた!」

「ほう、でかいな」
「ダサさ∞じゃないか!」
「だがそこがいい!」
ジャージを買った時のナイキのデカ袋は7人達に好評だった。
やれる事は全て終わった。
後は明日の戦いを待つだけだ。
~エピローグ~
「はい、Love,愛をこめて」
小さな袋を貰った人も大きな袋を貰った人もただ苦笑いをするだけだった。 深く計画した割りには、効果が見られなく俺は正直ガッカリンコだったが、仕事帰りに他のOL達がこ洒落た袋を手に持っている中、「Love,愛をこめて」と書かれたナイキの袋を持ちコソコソと雑踏を駆ける彼女達の事を想像するだけで幸せな気分になったんだ。
世の中はキレイな物やキレイ事ばかりじゃない。
それはまぎれもない真実なんだぜ!
お父さん、お母さん。
子供は狡猾ですぜ。
何でも当たり前のように手に入ると思ってますぜ。
ええ、かわいいのはわかります。
でも、子供の事を思えばそれだけじゃだめなんですよ。
え?じゃあどうすればいいかって?へへっ。
絶望、絶望です。
私達「ガキ制裁社」は絶望というスパイスをお勧めします。
早いうちに絶望を味あわさせると、大人になって強い子になりますぜ。
ええ、そりゃ強い子に。
そこでですね、いい絶望を味わえる商品があるんですよ。
「欲しかったのはこれじゃなーい!!」プレゼントを開けた子供から発せられる悲痛の叫び。楽しいはずのクリスマスが突如、修羅場に。こんな経験ありますか?できれば避けたいものです。
しかし人生、欲しい物が何のリスクもなしに手に入るなんて話はそうはありません。欲しい物を手に入れる為には努力も必要だという事を何らかの機会に知っておくのも良いでしょう。
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情操教育玩具として是非お試しください。
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2006年2月3日(金)
俺はある期待をしていた。
鬼よりも鬼らしい顔と肉体を持っている俺を、「鬼」と呼ぶ声は社内でも少なくない。
しかし、それは仕方の無い事と思いつつも、正直「鬼」と呼ばれる事は嬉しくなかった。そう呼ばれる度に、村人から「出てけ!この村から出て行け!」と石をぶつけられる鬼の顔になっていた。
だけどこの日は違ったんだ。
節分。そう鬼の日である!
この日は忌み嫌われる鬼に脚光が浴び、鬼を少し身近に感じられる日!
恐らく社内でも、俺にぶつける豆を大量に購入し、昼休みにでも俺めがけて投げてくることだろう。
なんという!
なんという鬼冥利につきる事か!
今日鬼の需要ありまくりジャン!いぃやっほぅううう~!
いっや~、27年間鬼やめないで良かったよ!まったく!
俺の鬼メーターはフルゲージをふりきっていた。
しかし、時計は16時をまわったのに、一向に豆まきが始まる気配は無い。
疑問に感じた鬼は、上司の勃起伯爵にこう探りをいれた。
「あんの~、伯爵。ま、豆買ってきました?」
「ん?節分の?買ってきてないけど」
「え?」
「えっ!?」
あまりの衝撃に鬼は二回「え?」と言った。
まさか!そんな馬鹿な!?
フラグが立ってるのにイベントが起きないだと~?
じゃあ俺は何のために、「鬼」と呼ばれ耐えてきたのだ!?
何のために前日、豆を当てられた時の叫び声を練習してきたのだ!
全 て は こ の 日 の た め だ ろ う がーーーっ!!
鬼としてもこのイベントだけはスルーさせる事は出来なかった。
だって、鬼にだってプライドはありますの。
鬼の様な形相で必死に上司に食い下がる。
執念。
そう、まさに執念!!
「あの~、家族と節分するでしょ?時給600円で鬼雇いませんか?」
「・・・・・いや、いいわ」
~エピローグ~
鬼の需要が無くなったのもライブドアショックの影響かなぁ、そんな事を考えながら会社を去る鬼の姿があった。せめて一人でもと、マンションの1階のコンビにで、恵方巻×1と豆×1をレジにおいた。
するとバイトの女、レジを通しながら必死で笑いをこらえている。
目も合わさず今にも噴出しそうだ。
フッ、なるほど。
恐らく俺が一人、恵方巻を食べる姿と豆をまく姿を想像したのだろう。
ああ、存分に笑うがいい。
10分後、君が想像した通りの事が行われるのだから。
エキサイティングに会話をしている途中で、
「ねぇ何が?何が?」
とカットインされると興ざめしてしまう事があるだろ?
会話を中断しまた1から話さなければならないし同じ話を再度繰り返す、これ程つまらない話は無い。
確かに盛り上がっている波(トーク)の中、突っ込んでいく事はタイミングが難しい。しかし、コツだ。サーフィンもタイミングとコツさえ理解できれば簡単だろ?何でもそうなんだよ、コツがないものなんてないのさ。ちなみに俺はサーフィンをやった事がない。
では、どういうタイミングで波に乗ればいいのか?
どうすれば会話の主導権を握れるのか?
20年の時を費やし完成させた「愛戦士団トーク戦術」を用いて説明しよう。
ある昼休み、同僚のAさんとBさんが楽しそうに話している。
当然あなたもその話に加わり談笑したい。
しかし、テンポの良いAさんとBさんの会話には隙が無くなかなか入る事ができない。
そこであなたは、
「その話は俺も聞いたことがある」
一言、ただ一言そうつぶやけばいい。
すると先程まで話役だったAさんとBさんが、驚きと期待を込めた顔であなたをじっと見つめ聞き役にまわったではないか!まるで波の流れが変わったように!
この言葉でカットインする事によって、脇役だったあなたでも、その話題の鍵を握る最重要人物(キーマン)に登りつめる事が出来るのだ。その効果は絶大!
これで主導権はあなたの物だ!思う存分トークを楽しむがいいさ!
~エピローグ~
このトーク戦術を使うようになって波に乗れるようになった。
でも、乗った後すぐ落ちるんだよな。
本屋に行くとトイレに行きたくなるだろ?
中には全くそういう事はないという人もいるだろうが、愛戦士団のリサーチでは100人中80人が「本屋に入るとウンコしたくなる」と答えている。つまり本屋にいる約8割の人は、本を選びつつも、冷や汗をかき便意と戦っているのである。綺麗なお姉さんがファッション誌を選びながら冷や汗をかいていたら、「お互いがんばりましょう!」と励ますのも粋な行動だ。
2005年12月25日(日) クリスマス
予定より早く仕事が終わり時間を持て余してしまった。
ゲームやテレビを見る気にもならなかった俺は、大型書店へ足を運んだ。
コミックコーナーから一般書籍、バンドスコアからWEB関連コーナーを回り、なんとなく読みたい本も数冊見つかった。今からレジに並ぼうとしたその時!近年稀にみるビックウェイブが襲ってきた。
「ほぉぁっ!こ、こいつぁデカイ・・、気を抜いたら一気にやってしまいそうだ・・・」
その状況に俺の中の7人達も、「スネークそれはやってはいけない!タイムパラドックスが起こるぞ!」「何を考えてるんだ!今日はクリス・・」と一斉に騒ぎ出す。
ああ、分かってるさ・・・。そのバッドエンドだけは迎えてはならない。
俺の前に並んでいるのは3人。レジを済ませ急いでトイレに駆け込むか、いや先に行くべきか・・・。否!清算前にトイレに行く行為は負けを意味する!
人生負け組な俺だが、ここは勝っておきたい!そう、ここは勝っとこう!俺!全身に力をいれ筋肉を極限まで硬くする。愛戦士団流「守の型」である。大抵の敵
ならこの型で乗り切る事ができる禁じ手中の禁じ手よ。
が、相手が悪かった。守の型でも押さえ込めない巨大さに、次第に呼吸も荒くなり、頭も真っ白になってくる。も、もはやこれまでか。その瞬間、
「次のお客さんどうぞ~」
俺アラ~イブ!愛戦士団流「守の型」に入っている為、カックンカックンとASIMOよりも機械的にレジに近づき、本を叩きつけた!
「ゴォール!!逆転ゴォーーーーール!!この聖なる夜のゲームを制しましたっ!!」
その瞬間、不思議と便意はクールダウン。
本屋(戦場)から出ると、凍てつく風が俺をつつむ。
「メリークリスマス」
熱い戦いを制した俺自身にそう呟いた。
今年の24・25も仕事で、夜に特に予定もないwe areなんだけど、
いちおう年に1度しか無い行事だし、俺なりに楽しむ事にした。
クリスマスといえば甘い囁きである。
仕事が終わり、帰ろうとしている女の子を見つけ、
「君だけに、メリークリスマス」と大塚明夫よりもしぶく囁いた。
すると、社内全体から「鳥肌がたった」という苦情が殺到。
と、とりあえず甘い囁きはクリアだな。
クリスマスといえばチキン&ケーキ。
幸い昨日ほっかほっか亭で買ったチキンバスケットのチキンが5個残っていた。周囲のマンションの人に見られないよう、遮光1級のカーテンを閉めて一気に頬
張った。後はケーキか。戸棚を探るとチョコボールが出てきた。考え方を変えればこれも充分ケーキである。これも一気においしくいただいた。
クリスマスといえばプレゼント。
まいったな、こればかりは強引にクリアできない。
いや、ある!プレゼントを貰う方法がある!
夜8時パチンコ屋に到着した。
今宵は北斗の「アタ!アタ!アタ!」が「痛!痛!痛!」に聞こえるスペシャルステージ。
閉店まで存分に戦おうではないか、ケンシロウ君。
その後、店の粋な計らいで5万円のクリスマスプレゼントを頂いた。
クリスマスといえばクリスマスソング。
時刻は夜の11時。
シャワーを浴びながら思いつく限りのクリスマスソングを熱唱してみた。
「なんとっ!?」
もうね、驚愕。
歌う曲、歌う曲全て上手すぎて自分自身震えが止まらない。隣の人妻も「え?隣でディナーショーやってる?」って俺の部屋の前をウロ
ウロするくらいのレベル。どんな人間でも何か一つ才能があると言うが、どうやら俺の才能は「クリスマス限定で歌が上手くなる才能」かもしれない。
サンタさん!それだけはやめて!
永遠のピーターパン達は毎日がクリスマスである。
だが、24・25日は宗教的理由で自粛している。
永遠のピーターパン東洋太平洋ランキング8位の坂本さんの話では、最近のピーターパン達は「クリスマス」という言葉を使わないらしい。詳しく聞いてみた。
俺「ピーターパン界全体が、クリスマスって言わなくなっちゃってるんですか?」
坂本「まぁ、上位ランカーのほとんどが言わなくなっちゃっただけだよ。」
俺「あぁ、俺普通に言いますもん。そもそも何で言わなくなったんですか?」
坂本「俺等、この時期色んな物買うじゃん?ゲームとか。それで、いちいち店員、『プレゼントですか?包装しましょうか?』とか聞いてくるわけ。 まぁ、自分用のプレゼントって思われたくないから、包装してもらうけどね。でも、一生懸命包装してくれる店員の姿を見てると、すごい罪悪感が湧くんだよ。 あ~あ、そんな綺麗にしなくていいよ。どーせ、帰ったらビリビリに破くのによ、ってね。これクリスマスの罪だよね。」
俺「それ、すごくわかりますわー」
坂本「あと、クリスマス=カップル最大のイベント。この先入観が強いせいで、みな視野が狭くなってるんだよね。そのせいで、クリスマスに働いたら負けみたいな負い目を感じてしまう。だから、俺達は、クリスマスという言葉をリセットして、別の言葉で呼ぶようにしたんだ。」
俺「なるほど、リセットですか・・・。で、別の言葉とは?」
坂本「ボーナスステージ」
俺「ボ、ボーナスステージ?ボーナスステージってあれですか?ちくわや鉄アレイが落ちてきたり、制限時間内に車壊したりの」
坂本「フ、相変わらず例えがゲームなんだな。まぁ、そんな感じだ。」
俺「すみません、自分が未熟なせいか、ちょっと意味がわからないんですが。」
坂本「いいか、一年間の中で心踊る時期はいつだ?恐らく7月と、12月だろ?学生は夏休み&冬休み、社会人はボーナス時期だからな。7月と12月は金が動く為、商品も狙ったように投入され、財布も気も緩む。よって、大人も子供も欲しい物が手に入るスペシャルステージ。
クリスマスもその延長。その浮かれきった脳が、高いプレゼントを贈り、高級レストランで食事をし、高級ホテルでチョメチョメしたりする。2月の平日にそんな事するか?しないだろ?だが、12月はできる!なぜならばボーナスステージだからだ!」
俺「なるほど、ボーナスステージは12月一杯ある・・・。じゃ、じゃあ24・25日にわざわざクリスマス料金でデートする事ないじゃないですかっ!?」
坂本「あぁ、そこがポイントだ。クリスマスという言葉に踊らされた人達は混雑した中、量産された飯を食べ、皆と同じ夜景を見て満足する。その点ボーナスステージを理解しているやつは、前の週末に空いた街の中で二人だけの空間を楽しむ事ができる。格安でな!」
俺「革命じゃないですか!?レボリューションじゃないですかっ!?」
坂本「だろ?」
俺「あ、一つ質問です。じゃあ親がリストラされたり、クリスマスパーティとか出来ないはボーナスステージはあるのでしょうか?」
坂本「それは裏ボーナスステージだ」
俺「う、裏?く、詳しくっ!」
坂本「ああ、裏ボーナスステージとは家庭の事情で12月や1月のお年玉を楽しめない子供達のステージだ。しかし、裏ボーナスステージを経験した子供 は、『将来は絶対成り上がってやる!』という超ハングリー精神を会得できる。こういう子は将来、医者になったり官僚になったりの真・ボーナスステージが 待ってるんだよ。」
俺「深けぇ~!ボーナスステージ深けぇ~!!」
坂本「まぁ、お前はお前なりのボーナスステージを楽しんでよ」
俺「はい、坂本さん今日はありがとうございました!」




